2009-01-01から1年間の記事一覧

鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人|東京オペラシティ アートギャラリー

鴻池朋子展「インタートラベラー神話と遊ぶ人」違和感を覚えたのは、「物語」ということが随分と叫ばれていたのだけれど、ここでいう「物語」とは、絵画の外での出来事を指示すものであって、それは半ば強制的に会場の入り口と出口を「始まり―終わり」と見立…

劇団航海記『ヴェニスの商人』

劇団航海記([http://kohkaiki.com/top/)によるシェイクスピアの『ヴェニスの商人』(エル・パーク仙台)を観ていて、「おっ」と思ったのは、終盤の「指輪の紛失」騒動が一段落して、正に物語が大団円を迎えようとする瞬間に、アントーニオだけが大団円を迎…

木村幸恵「レイコの日本【美術】留学」

川口市立アートギャラリー・アトリア | Kawaguchi Art Gallery ATLIAで開催中の荒木玲奈と木村幸恵(http://www.sachie.info/framesetJ.html)による『まひるの夢』展から、木村幸恵の作品について。木村の作品の特徴というのは、おそらく「幽霊」という実体…

『世界報道写真展2009』

恵比寿の東京都写真美術館で開催中の『世界報道写真展2009』に、東京在住のフランク・ロビション(http://franckrobichon.com/index2.htm)さんの写真が「スポーツ・アクションの部単写真3位」に選出展示されています。ロビションさんは、来日19年のフランス…

ここ数年、イタリア(地中海的世界)に魅了されているのだけれど、それでも「パリの孤独」という言葉には無視出来ない何かがある。 例えば辻邦生は、西欧の偉大さを「人間を原型化し、普遍化、本質化して、時間空間をこえた真実として把握してゆくという思考…

前日、深夜遅くまで辻邦生の『モンマルトル日記』(新潮社)を読んでいたからか、何年かぶりにパリの夢を見た。凱旋門からRERのA線に乗って帰宅しようとしていたのに、ふっと凱旋門の屋上にまだ登っていないことに気がつき、凱旋門に向かうのだが、急な雨で…

佐藤忠良

宮城県美術館には佐藤忠良記念館が併設されているのだけれど。佐藤忠良という(たぶん一般的には彫刻家としてよりも『おおきなかぶ』(福音館書房)という絵本の原画者としての方が有名だと思われる)彫刻家の作品の凄さというのは、実生活や実社会のレベル…

『前衛のみやぎ』

宮城県美術館で開催中の『前衛のみやぎ』展について。ちょうど同館を訪れたと時に、針生一郎の講演会(「戦後の前衛芸術運動と宮城の作家たち」)が関連企画として開催されていたので聴衆したのですが、印象に残ったのは、針生氏の「前衛」を問う(或は問題…

「国際展の現在」

情報に疎いので、『REAR』という芸術批評誌の最新号(no.21)を見るまで知らなかったのですが、2010年に愛知で「あいちトリエンナーレ」なるものが開催されるらしく、『REAR』の誌上で芸術監督を務める建畠哲を囲んで、三田晴夫、岡部あおみ、福住廉、による…

「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展(2)

「シーグラム壁画」の展示を高いと見る意見があるようだけれど(おそらく「シーグラム壁画」を「高い」と見なす意見の大半は、「美術館」の目の高さに作品を展示する視線を前提としたものだと思うのだがけど)、「高い」とは、「低い」の違いによってのみ定…

「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展

「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」/DIC川村記念美術館 | Kawamura Memorial DIC Museum of Art今回、展示されていた「シーグラム壁画」の特徴というのは、ロスコの絵画の特徴である「水平線分割」が、非物質的な光(色彩)の矩形が持つ正面性が強調された作…

村上春樹『1Q84』(2)

Book2「第11章(青豆)均衡そのものが善なのだ」を読むこの章で下敷きにされているのは「マタイ伝第4章」である。もっと厳密に言えばドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』の中で、イヴァン・カラマーゾフに語らせた「大審問官」であるのだが、ここで重…

村上春樹『1Q84』

『1Q84』というタイトルは、ジョージ・オーウェルの『1984』を連想させるタイトルである。しかし、ここで意識されているのは、ジョージ・オーウェルよりも、ドストエフスキーであり。目指されているのはドストエフスキー的世界を形而下の世界で物語る…

「レオナール・フジタ」展

「レオナール・フジタ」展(http://leonardfoujita.jp/index.html)/せんだいメディアテーク藤田嗣治の絵は遠くから見ると、驚くらい凡庸である。藤田の絵は、「線」が確認出来る距離まで近づかなければ、意味をなさない。遠くから眺められるということが全…

シチリア日記

4月26日(日) パレルモ ローマから飛行機で約一時間。空港の到着ロビーにゴットファーザーのテーマソングが流れているのはご愛嬌。空港からバスで40分ほど移動して、カステルヌオーヴォ広場に到着。ホテルにチェックイン後、さっそく昼食に繰り出したのだが…

「FUTURISMO AVANGUARD」

「未来派 前衛」展/スクデリエ・デル・クイリナーレ(ローマ)ローマの大統領官邸前(クイリナーレ宮殿)にあるスクデリエ・デル・クイリナーレで開催されていた「未来派 前衛」展(Scuderie del Quirinale)。今年は、マリネッティの未来派設立宣言から100…

システィーナ礼拝堂

ミケランジェロによるシスティーナ礼拝堂の天井画について(メモ)システィーナ礼拝堂の特徴というのは、支持体となる天井が筒型のヴォールト天井であるので、三角小間(スパンドレル)、側面の傾斜面を支える帆型壁(ヴェーラ)、その下の半月型壁(ルネッ…