2013-01-01から1年間の記事一覧

美術と自然−なぜ日本美術は原始回帰するのか−

『所沢ビエンナーレ展2011』のカタログに掲載された文章を訂正したものです。 ##### ##### ##### ##### 美術と自然−なぜ日本美術は原始回帰するのか− 井上幸治●翻訳語としての自然 なぜ日本の美術は原始回帰するのか、それがここでの問…

ゴッホが色彩を肯定するまでの美術史

クロモクラスム(色彩破壊論)と呼ばれる西欧のキリスト教社会における色彩を巡る論争には長い歴史がある。否定派は「神性」を可視的なものとして表現することは出来ないという立場から、色彩を不道徳で虚栄なものと断罪するが、肯定派は色彩を物質ではなく…

「ゴッホ展 空白のパリ時代を追う」/宮城県美術館

ゴッホのパリ時代(1886〜88年)を焦点とした展覧会であるので、晩年の狂気じみた作品は出品されていないが、アムステルダムのファン・ゴッホ美術館が所蔵するパリ時代の作品郡は十分に見る価値があったと思う。気になったのは石膏像(トルソ)を描いた油彩…

ロマン主義は「いま」と「ここ」の否定から現実性の再確認を目論んだが、日本の現代美術は「いま」「ここ」を肯定しながら、現実を遠ざけ、ありもし得ないユートピアを夢想する。日本の現代美術が夢想するユートピアは観念としての「自然」であるので、実体…

釜石

風間サチコ 展「没落THIRD FIRE」/無人島プロダクション

『噫!怒涛の閉塞艦』という巨大な木版画が展示されていたのだけれども、これは2005年に制作された『風雲13号地』と対になる作品らしい。おそらく『風雲13号地』で予見されていた大艦巨砲主義で開発一辺倒に突き進む日本の「成長神話」に対する危うさが、原…