2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

中村和雄「引込線と現代美術」(『所沢ビエンナーレ美術展2011カタログ』)

「引込線」という展覧会タイトルから、作家の活動には少なからず「ひきこもり」的要素があることが指摘され、そこから昨今の美術界の商業主義の流れに対しての警鐘が語られているのだけれど、好感を覚えるのは社会から隔絶してひきこもるという行為の葛藤、…

『ゴヤ 光と影』/国立西洋美術館

『着衣のマハ』が目玉作品のようだったけれど、個人的には『マハ』よりも『赤い礼服の国王カルロス4世』や、『カルロス4世家族』の為の習作と思われる『マリア・ホセファ内親王』『スペイン王子フランシスコ・デ・パウラ・アントニオの肖像』といった、こ…

『南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎』/サントリー美術館

ここでいう「光と影」は、王権と法王権の対立と考えると理解が進むかと思う。どちらが光で、どちらが影なのかということは、当事者からしたら常に自分たちの側が光で、相手方が影となることなので、あまり真剣に考えても仕方のないことなのだけれど、歴史的…

11月11日 曇り震災から8ヶ月。震災当初、震災とは自分が経験した大きな「揺れ」のことであり、それが震災についての全てであった。しかし震災とは、自身の身体的な経験を意味するものなどではなく、人間の日常的倫理・道徳を超えた自然に、人間がいかに…