ロマン主義は「いま」と「ここ」の否定から現実性の再確認を目論んだが、日本の現代美術は「いま」「ここ」を肯定しながら、現実を遠ざけ、ありもし得ないユートピアを夢想する。日本の現代美術が夢想するユートピアは観念としての「自然」であるので、実体としての自然。大震災はいとも簡単に忘却される。