シチリア日記

4月26日(日) パレルモ
ローマから飛行機で約一時間。空港の到着ロビーにゴットファーザーのテーマソングが流れているのはご愛嬌。空港からバスで40分ほど移動して、カステルヌオーヴォ広場に到着。ホテルにチェックイン後、さっそく昼食に繰り出したのだが、のっけから郷土料理の奥深さにガッンとやられる。正直、人工68万という割にはインフラ整備の遅れが目立つのだが、過って地中海世界の要衝であっただけあって、ビザンティン、アラブ、ノルマン、ルネッサンスバロック、と多彩な文化が混在している様は魅惑的である。

4月27日(月) パレルモ
朝から、強風。マッシモ劇場を右手に見ながら、マクエダ通りを南下してクアットロ・カンティまで歩き、右折してヴィットリオ・エヌマヌエ大通りにあるカテドラルに到着。アラブ・ノルマン様式の外観は壮大。内部を簡単に見学して、そのままヌオーヴァ門を通り抜けてノルマン王宮へ。修復作業が終わったパラティーナ礼拝堂を見学。直径6m、高さ約20mの円蓋に施された「キリスト・パントクラトール」よりも、アプシスの「キリスト・パントクラトール」の方が印象的である。左手に書物を持ちながら右手で祝福の仕種を示すキリストの正面性の大きさ。「私は世の光である」というギリシャ語の銘通り。色ガラスの上に金箔を施されたビザンティン・モザイクは、限られた採光条件の中で、天上の世界を演出している。頭上のムカスナス(スラム風の鍾乳飾り)に、床の上のゴズマーテイ様式のモザイクも印象的である。バスでヴィットリオ・エマヌエーレ大通りのフェリーチェ門まで移動。マリオネット博物館を探すが見付からない。イタリアに来て困るのは、道を尋ねればみんな親切に答えてくれるのだが、誰が正しい答えを持っているのかが分からないこと。日本人に道を田尋ねられて興奮していた高校生グループが満足げに教えてくれたのは、市立美術館だった(しかも休館日)。諦めてヴッチリアの市場を覗いてから、少し遅い昼食。その後、リベルタ大通りを散策。

4月28日(火) チェファル 
快晴。ルネッサンス様式のプレトリア広場、ノルマン様式のサン・カタルド教会を見ながら、旧市街を通り抜けて、パレルモ中央駅へ。定刻通りの発車で、チェファルへ移動。イタリアという国を知っている人には、なかなか信じて貰えないのだが、ここ最近のイタリア国鉄はかなり定刻通りに電車が動く様になっている。でも、なかなか信じて貰えなくて、「運が良いのだ」と言われてしまう。小さな漁村。アラブ・ノルマン様式の大聖堂は、外観こそ地味だが、モザイク画の荘厳さはパラティーナ礼拝堂に引けをとらない。特に、アプシスの「キリスト・パントクラトール」はパラティーナより巨大である。海辺を散策したあと、町を見下ろす岩山へ。一時間程のトレッキング・コースを歩いて頂上に辿り着くが、ティレニア海の青を背景にしたディアナ神殿から望む眼下の風景は雄大である。下山して、昼食。夕方。予定より1本遅れた電車でパレルモへ戻る。スーパーで買い物した後、ホテルへ。

4月29日(水) タオルミーナ
晴れ。パレルモ中央駅から、インターシティーでメッシーナへ移動。定刻通りの発車。メッシーナから、ローカル線でタオルミーナへ。タオルミーナの駅から、バスで急勾配の坂道を登って市街へ。ホテルにチェックインした後、簡単に街を散策して、夜はピッッアをテイクアウト。

4月30日(木) タオルミーナ
晴れ。朝一でギリシャ劇場へ。エトナ山とイオニア海を背景に浮かぶ蹄鉄型の劇場は雄大である。正直、あまりに観光地化している街並みに辟易させられていたのだが、この景色だけは見る価値がある。簡単に街中をぶらついた後、サラセン人の城へ。眼下に青一色の世界が広がる。昼食は、お目当てにしていたお店が電気系統のトラブルで昼は休むとのことで、適当な店を探すことになったのだが、匂いだけを頼り店を探したらミシュランの2星に辿り着いてしまった。さすがにそんな店に入る余裕はないので、もっと適当な店を探すことになったのだけれど。探して入った店の入り口で見知らぬ東洋人に会釈をされたので何かと思ったら、店内には日本人のツアー客が先客でおり。先での男はガイドだったのだが、安くてそこそこ美味しい店というのはもう既にしっかりとチェックされているのだなと感心させられた。その後、適当に時間を潰してから。夜、お目当ての店で夕食。なんでもその店では、10年程前まで日本人のコックが働いていたとのこと。世の中狭いものだなと思う。まだハイ・シーズンでないので、静かな夜道。