「FUTURISMO AVANGUARD」

未来派 前衛」展/スクデリエ・デル・クイリナーレ(ローマ)

ローマの大統領官邸前(クイリナーレ宮殿)にあるスクデリエ・デル・クイリナーレで開催されていた「未来派 前衛」展(Scuderie del Quirinale)。今年は、マリネッティ未来派設立宣言から100年目ということで、イタリア各地で未来派100周年を記念する展覧会が開催されているのですが、時間の関係上、この展覧会は駆け足で観ることしか出来なかったので簡単な印象だけを書き留めておきます。

会場には、カルロ・カッラの「無政府主義者ガッリの葬列」などいくつか重要な作品が展示されていたが、一番印象に残ったのはマルセル・デュシャンの「階段を降りる裸体No.2」である。未来派の展覧会を観に来て、デュシャンの作品が一番印象に残るというのも変な話なのだが、それは単純にいい作品であって、未来派の過剰な色彩と比較すると、デュシャンの圧制された色彩は堅固な印象を与えるものであり。また色彩の排除と同時になされる筆払の排除が、線の前面化を際立たせていたと思う。

ちょうどデュシャンの作品が展示されていたスペースの部屋の隣にブラックの作品が展示されていたのだが、キュビズムが色彩を排除しても、なかなか新印象主義的な筆払を捨てることをしなかっただけに両者の類似点と相違点には考えさせられるものがあったのだが、なによりも驚いた(というか収穫だった)のは、デュシャンがこれだけ強度のある絵画を描いて残しているということで、デュシャンに対する見方が変わる作品であったと思う。


※追記
兎に角時間がなかったので、作品の前で熱く語り合うイタリア人たちを尻目に会場を後にしなければならなかったのですが、まるでカフェに居るかのように作品について語り合っているイタリア人たちの姿には驚きました。作品の前で作品について語り合うというのは、ヨーロッパの美術館なら当たり前と思われるかも知れませんが、ちょっと他の国では見られない光景で、イタリア人の以外な一面を見た気がするのですが、それだけ未来派の作品が知的好奇心を与え続けているのかも知れません。