仙台から(三)

朝から冷たい小雨が降っています。市内はかなりの範囲で電気が復旧してきた模様ですが、電気の復旧と共に多くの人が、未曾有の震災の全容をテレビの映像を通じて目の当たりすることになり、かなりのショックを受けているようです。特に津波の被害にあった沿岸部の状況を理解し、受け入れるには、時間が必要とされることになると思います。それでも電気が回復した地域は、かなり状況が改善されています。ただ残念なのは原発の混乱した報道が、不必要な不信を招いていることです。特にリーダーシップの不在は深刻で、先行きの見えない不安を生んでいます。一国の首相が期待に応えていないのも問題ですが、県知事や市長といったレベルのリーダーの顔が全く見えないのも問題です。何処で、どれくらいの復興作業が行われているのか、進んでいるのかという、アナウンスも必要でないでしょうか。

原発に関しては情報が錯綜しているので不確かなことは言えませんが、震災現場を取材して飛び回っている知り合いの報道カメラマから、「仙台を出たほうがいよい」というメールをもらいましたが、ここで生きていく覚悟です。もちろんこうした心配は杞憂に終わって欲しいものですし、今は少しでも状況が好転することだけを考えています。おそらくこれからは震災にあった地域だけでなく、日本中が困難な状況に直面することと思われますが、こうした状況であるからこそ、美術というものが必要とされ、また作品が制作されるものと信じます。