『美術手帳』(2012年1月号)村上隆インタヴュー記事(2)。この人の不思議あるいは、特徴は父親的なものに対する懐疑のなさ。なぜか大人になっても父親の言葉に実証的分析が加えられない。例えば、ここでは父親の言葉として、「いや、日本もやったんだ。一億総玉砕って」という言葉が語られているが、先の大戦で「玉砕」の地になったのは沖縄だけ。またここで言う「一億総玉砕」の、「一億」というのは、併合された台湾と朝鮮の非日系を含めての数であって、当時の日本(内地人)の人口は約七千万。細かいことと思うかも知れないが、日本という「国」のフレームの再構成、再編を要求する人に、「沖縄」に対する視点、意識がないことは重要。自身を「マイノリティー」な存在と規定してみせる人に、差別の構造が見えていない。