5月16日 晴れ

仕事の都合で長野へ。震災後、はじめて宮城県外へ出たのだけれど、新幹線の車窓から見える福島県内は、春の新緑がとても綺麗であった。車窓の外に広がる春の風景と、目に見えない放射能との間にあるギャップを、どうしても理解することが出来ない。ただ車窓の風景を眺めながら、確か3年ぐらい前に福島県立美術館ワイエスの展覧会を見た時に、この人は人類が滅んだあとの世界を淡々と描いているのではないかと思ったことを思い出した。もちろん僕はワイエスという人の思想信条を知らない。それでもワイエスの絵画から、核戦争後の世界を感じていた。ワイエスの絵画というのは、限りなくイラストレーションに近いものであるので、絵画としては、ほとんど評価出来る点がないのだけれど、「死」というものが、時間を超越したものとして描かれていたと思う。