岡本太郎の壁画(『明日の神話』)に「いたずら」というニュースについて(http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY201105020282.html)。

写真を見ると、かなり周到に準備されていることが分かります。でも、感心出来るものではありません。なぜなら、ここには「反原発」というメッセージがあるのでしょうが、「テロからデモ」へという、今日の世界の潮流の中で、このようなゲリラ的手法がメッセージとして有効だとは思えないからです。確かに一過性的な注目を集めることは出来るでしょう。しかし、それが社会に対して持続的なメッセージになるとはとても思えません。そもそも「反原発」ということを主張することが難しい状況でもないのに、ゲリラ的手法が選ばれているという時点で、自己完結的なパフォーマンスであって、当事者たちにも、それが自己満足的な行為であるという後ろめたさがあるのだと思います。

作品に直接的な危害が加えられている訳ではないので、これをユーモアとして受け入れるだけの許容が社会の側にあてもよいと思いますが、当事者たちが名乗り出て来て、「作品の収益を被災地に募金する」とか言い出す事態にだけはなって欲しくないです。被災地に送る義援金を集めるのは立派のことですが、被災者をダシにして、自らの行為を正当化しようとするのは、被災者をダシにして、増税を叫ぶ人たちと何ら変わりがありません。それは恐ろしく想像力の欠けた行為となるでしょう。