「歪んだ世界」(三)

仙台市宮城野区蒲生。津波の被害を受けた沿岸部は、本当に酷い状況で、言葉にすることが出来ない状況です。この言葉にならない状況というのは、理解し難い力でもって町が破壊され尽くされているということです。このおそろしく日本らしくない乾いた風景の中を歩いていると、平衡感覚がおかしくなってきてしまうので、無意識的にバランス感覚を保つことが可能なフレームを探してみるのですが、そこで見付けられることが出来るのは、僅かに水平線ぐらいだけです。今までのフレーム(枠組み)を無効としようとする世界から、無秩序の世界に意味を与えるフレームが必要とされる世界への移行。非日常的世界が日常となってしまった世界において、現代美術はどのように機能するのでしょうか。

津波に流された流木をよく見てみると、桜の花が咲いていました。