仙台から(七)

天気晴れ。朝から余震続く。絵画や文学といった芸術活動には、混沌とした現実にはない秩序を作り上げる力があります。これまでの日本の美術界では、現実の社会というのはガチガチに管理・統制されたものであるから、それを壊すのが美術の役割だという、まるで反抗期のティーンエージャー並みの稚拙な反逆精神がよしとされてきましたが、本来、芸術や美術と呼ばれものは、混沌とした世界(自然)にはない秩序を作り上げることです。

もちろん食べるものがない、水がない、住むところがない、という生活条件の厳しさに直面している人たちが沢山いて、そうした厳しい現実に対して、何をしたらよいのか戸惑う気持ちは分かります。しかし、美術は決して現実に対して無力ではありません。たとえば絵画には枠組みという、混沌とした自然(世界)にはない秩序を、その内側に描くことを保証するものがあります。そこには自然(世界)を乗り越えて、秩序を作り出す場が確実にあるのです。だから「沈黙」するのではなく、「言葉」を発して下さい。お願いします。